2017年09月11日

雨のお庭屋さん

明日は雨です。。




しかし明日はお仕事決定です。

月給制の社員さんは
携帯の定額使いたい放題プランのように
めいっぱい働いてもらわねばなりません!

というのは冗談ですが、

やはり雨でも行かなければならない
という現場はありまして。。。
ツラいですね、雨中で働くのも、
人に働いてもらうのも。

以下、僕が昔 一瞬だけ書いていたブログにも
書いた内容ですが


僕の20代、約20年前
(ほぁんほぁんほぁ~ん♪、と過去に戻るBGM)



京都の植木屋さんの修業時代はだいたい雨はお休みでした

なぜなら雨に濡れたお庭でお仕事すれば
足元の苔が傷みますし、
エントランスなどにも足跡がついたり。

楚々とした仕事ぶりを尊ぶ京都のお庭屋さんは
雨の日はお休みです。
そんな時代でした。

しかし

朝に親方から雨天中止の連絡をもらうと、
「よーしもうひと眠り」

とはいかず、

僕の親方は

日曜や、仕事のない日に、
「友達と飲んでいた、遊びに行っていた」
などは、たとえちょっと遊びが過ぎても
そこまで怒りませんが

「寝ていた」「ゲームして過ごした」など、
誰とも触れ合わず休みを過ごすくらいなら
お庭や美術館に行きなさい、と。
いや、行かなければ次の日は
半日くらいお説教でしたので

雨天中止の連絡を受けたら、
とりあえず「京都のお庭100選」
のような本でお庭を調べ

8:00 出発
9:00 到着
10:00 帰路に就く
11:00 ジャスコでお昼ご飯を買って
12:00 帰宅、布団に入って、ゲーム機のスイッチをオン

という、とりあえず行きましたよ
というアリバイ作りみたいな、
怒られ無い為だけの行動。若者の見本ですね。



しかし次の日には
親方の
「昨日どこ行っててん?」
「ほー、〇〇寺か。ほしたら〇〇の石組と灯篭見てきたか?」
「それ見とらんと一体何を見てきてん?」
「お前、何しに行ったんや」
など

親方は京都の昭和を代表する
有名作庭家のお弟子さんで、
お茶、お花もたしなみ、
勤勉博識の見本のような人で

親方チェックの後、
「もっぺん来週見に行って来たら?」
など、かなり厳しい人でしたが、

解らないなりに真面目にお庭を見てきた時は、
僕らのまだまだ浅い考察を、
ふんふんと聞いてくれてたような気がします。

僕がお庭で撮ってきた写真を見せたときなど

「お前がこのお庭のどこが良いのかを
分かっていないから、写真を見ても、
お前がお庭の何を撮りたかったのか分からんで。

もっと仕事が出来るようになって、
お庭の良さがもっと分かるようになったら、
もっとええ写真撮れるようになると思うでー」

など、厳しいながらも
優しく指導してくださり、

そのうち、意外と
雨のお庭の静けさや、

「ふすま絵とか絵画も面白いな、、」

「とりあえず美術館来てみたけど、
日本画とか分からんけどなんか良いな、。」

などと思う瞬間も時にはあり、
そのうち自発的に見に行く習慣が付き。。

今では絵画、焼き物を観に
美術館に行くのが楽しみになりました。


本当に本当に感謝しております。


お庭というのは
雨に濡れると本来の魅力が出るものでして、

石の色、緑の色がはっきりとし、

なによりシンとしたお庭に雨の音だけ。

という タマラン雰囲気になるのです。


なので僕の京都は、
雨のお庭の思い出が多いのです


数年前、名古屋の造園屋さんたちと
京都に勉強会に訪れたとき
吹雪からの雨で、旅行としてはさんざんでしたが、

僕含む京都修行組のお庭屋さんたちは、
やはり若い頃それぞれに雨の日に
お庭見学した思い出があり

雨の京都のお庭に、
なんだか昔に戻ったような気がして

「せっかく京都に来て、
雨が降ってくれるなんて、、サイコーじゃん!」

と、興奮気味のオジサン軍団でした。


皆さんも 京都旅行に行ったのに
雨に降られたら

それは幸運なのです。

「超ラッキー!!」「やったぜ!」

と思いましょう

僕らと一緒に雨の静けさに浸りましょう
雨音を楽しみましょう

雨のお庭、ぜひ。













  


Posted by ツバさん at 23:24 │コメントをする・見る(0)雑感